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2024.02.07 | TOPICS

「日本クリエイション大賞2023」選考結果のご報告

「日本クリエイション大賞」は、一般財団法人日本ファッション協会が行っている、製品、技術、芸術・文化活動、地域振興、環境、福祉など、ジャンルを問わずクリエイティブな視点で生活文化の向上に貢献し、次代を切り拓いた人物やプロジェクトなどを表彰対象とする顕彰事業です。今年度は1 0 9 件の推薦案件の中から4 0 案件を懸賞制度委員会に提案。3 回の委員会での審議の結果、大賞1件と各賞として【交流と文化の町賞】【しあわせ職場賞】【宇宙浪漫賞】の3 件を選考しました。

 

「日本クリエイション大賞2023」授賞案件

【大 賞】宮坂 力氏(桐蔭横浜大学 特任教授、ペクセル・テクノロジーズ株式会社 代表取締役)

「世界に先駆けてペロブスカイト太陽電池を開発」

「ペロブスカイト太陽電池」は、次世代太陽電池の本命として期待されている。太陽光パネルと異なり軽量・薄型で、ビルの壁や窓、車やトタン屋根の上など、どこでも設置可能な上、曇天の日でも発電できる“夢の太陽電池”である。折り曲げやゆがみにも強く、塗布や印刷技術で量産が可能。しかも日本は、主原料のヨウ素の生産量が世界第2位、生産量シェアでは世界の3割を占めている。
この“夢の太陽電池”の開発に、2009年、世界で初めて成功したのが桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授らである。この功績によって宮坂教授はノーベル賞の候補にも挙げられている。
ここ数年、世界でペロブスカイト太陽電池の実用化に向けた開発競争が進んでいるが、日本政府もペロブスカイト太陽電池について、「日本が強みを持つ技術と材料を活かして量産技術の確立と需要の創出、生産体制の整備を進め早期に社会実装を目指す」としている。
大手メーカー各社が量産・実用化に向けてしのぎを削る中、2023年、宮坂教授自身も自らが率いるペクセル・テクノロジーズ株式会社と、三菱ケミカルなど大手の企業数社との連携によって早期実用化を目指している。2009年の開発から現在に至るまで、ペロブスカイト太陽電池の普及に向け不断の努力を続けている宮坂教授に敬意を表して大賞とする。

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宮坂 力教授
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折り曲げやゆがみに強いペロブスカイト太陽電池

【交流と文化の町賞】東川町(北海道上川郡)

「北の大地と多彩な文化が育んだ“写真甲子園”、交流の輪を拡げる」

北海道のほぼ中央、道内で最も標高の高い旭岳を擁する大雪山連峰のふもとにあって、道内第2位の中枢都市・旭川市に隣接する東川町は、1985年、世界に向けて『写真の町宣言』を行った。その後、写真文化によるさまざまな町づくりの施策を実施。その一つが、1994年から始まった「写真甲子園」である。全国の高校写真部・サークルが対象で、各ブロックを勝ち上がった高校生たちが、毎夏、東川町内及び周辺市町をめぐって地元の人々と触れ合いながら写真を撮影し、作品(組写真)を制作、2回の公開審査会を経て優勝や各賞が決まる。30年目を迎えた2023年には歴代最多の584校から初戦応募があった。この30年で約7000人だった町の人口は、多くの移住者を迎え入れて2023年に約8600人になった。2015年には日本初の公立日本語学校も開校するなど、外国人の受け入れにも熱心で、役場には現在、世界18ヵ国21人の外国人職員が在籍する。写真を中核に、交流と文化における“東川スタイル”を確立したこの町は、今や若い世代のあこがれの町のひとつになっている。

 

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30年目を迎えた「写真甲子園」本戦大会での公開審査会(2023年)/写真提供:写真甲子園実行委員会

 

 

【しあわせ職場賞】日本理化学工業株式会社

「知的障がい者たちが担う、環境にやさしいものづくり」

窓ガラスや鏡などの平らな面に自由に絵を描いて、濡れた布で拭き取れば消えるお絵かき道具「キットパス」。水に溶かせば水彩絵の具のように絵筆で楽しむこともできる。主原料は「米ぬか」からとれるライスワックスで、人にも環境にもやさしい。環境に極力配慮した紙製パッケージに入った世界で愛される人気商品だ。
キットパスを製造し、世界10数ヶ国で販売している日本理化学工業株式会社は、歯磨き粉にも使われる炭酸カルシウムを原料にした「ダストレスチョーク」の製造にも国内で初めて成功し、国内シェア70%を誇るトップメーカーである。
同社でものづくりを担っているのは、1960年に雇用開始し、現在では社員のおよそ7割を占める知的障がい者たちだ。チョークとキットパス、それぞれの生産ラインは全員知的障がいのある社員で、1日約8時間自分のできる能力を最大限に発揮してものづくりに励み、60歳の定年を過ぎても元気に働く社員がほとんどだ。日本理化学工業は、働く人がつくる“しあわせ”を感じ、使う人もしあわせにする会社なのである。

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米ぬかからとれるライスワックスを主原料とする「キットパス」/写真提供:日本理化学工業株式会社

 

【宇宙浪漫賞】株式会社Pale Blue

「安全で燃費に優れた小型衛星用“水エンジン”、宇宙を翔ける」

株式会社Pale Blueは2020年に創業した東京大学発の宇宙ベンチャー。2023年3月、ソニーの人工衛星「EYE」に搭載された、同社開発の水蒸気式推進機(水エンジン)が噴射に成功、得られたデータから推力の生成を確認した。さらに2022年 11 月に打ち上げられた JAXA の超小型探査機「EQUULEUS(エクレウス)」に搭載された水エンジンは、同社代表の浅川純氏が東京大学所属時に開発をリードしていたモデルであり、「水」を推進剤とするエンジンによる地球低軌道以遠での軌道制御に世界で初めて成功し、約 1 年半をかけて月の裏側を目指している。
水エンジンは、水を気化させて生じる水蒸気の噴出を推進力とする。これまでの推進剤に用いられてきた環境や人体に悪影響を及ぼす化合物と異なり、水は常温常圧で液体貯蔵可能なうえ、安全無毒で取り扱いが容易なため、超小型衛星にも搭載しやすい。小型衛星に水エンジンが搭載されれば、「軌道投入」「軌道維持」「軌道離脱」「衝突回避」など宇宙空間でのあらゆる移動ができるようになり、運用を終えた衛星を宇宙デブリとして漂わせることも少なくなる。今後、小型衛星は世界で1万機以上打ち上げられると言われ、同社の水エンジンの活躍の場は大きく広がっていくに違いない。

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宇宙空間で推進機が小型衛星に搭載され作動しているイメージ図/
画像提供:株式会社Pale Blue

 

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