推薦映画の紹介

幕末ヒポクラテスたち

5月8日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
Ⓒ「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会
5月8日(金)より、新宿ピカデリーほか全国ロードショー
2026年/日本/103分  配給:ギャガ
<公式サイト>

幕末、京都の外れの村。大倉太吉(佐々木蔵之介)は、貧しい者からは診察代を取らず、大胆で爽快、好奇心旺盛な蘭方医。“どんな病も葛根湯”の漢方医・玄斎(内藤剛志)とは、ディスり合いが日課の犬猿の仲。そんなある日、気性の荒い青年・新左(藤原季節)を手術で救ったことから、太吉と新左の人生が変わっていく。やがて村の危機に直面する中、奮闘する太吉らが見いだす明日とは――。
中国・唐由来の漢方医と西洋医学を学んだ蘭方医が競い合っていた時代、幕末の蘭方医らの奮闘と未来へとつなぐ思い、そして彼を取り巻く医者たちや人間たちとのドラマが生き生きと描かれる。おおらかに命を見つめる人間ドラマにして、爽快な医療時代劇。

  • 掛尾良夫(田辺・弁慶映画祭ディレクター)
     医師免許を持つ映画監督の大森一樹は、自身の医学生時代を描いた『ヒポクラテスたち』(1980年/キネマ旬報ベストテン3位)で脚光を集めた。2022年、コロナ禍を乗り越えた頃、母校の京都府立医科大学が創立150周年を迎え、記念事業として映画製作の企画・監督に招かれた大森監督は現代と重ね、幕末の疫病と戦った医師たちの物語を構想するが、その年の11月に白血病のため70歳で亡くなってしまう。そこで、この企画を引き継いだのが『ヒポクラテスたち』で行動 を共にした森重晃プロデューサーと弟子筋の緒方明監督だった。佐々木蔵之介、内藤剛志、柄本明、真木よう子が演じるヒポクラテスたちの軽妙な演技、東映京都撮影所ならではのリアリティーある時代劇が絶妙なバランスで構築される。自主映画からメジャー映画に進んだ大森監督の遺志を緒方監督はしっかりと受け継いでいる。
  • 高見恭子(タレント/文筆家)
     京都の医大生を描いた映画『ヒポクラテスたち』の大森一樹監督の思いと遺志を基に、緒方明監督、佐々木蔵之介氏主演で幕末の漢方と西洋医学を学んだ蘭方医、町医者の飽くなき探究心、奮闘を描く。大森監督ゆかりの俳優、スタッフが、日本の医療の始まりを生き生きと物語にした愛溢れる映画。

ソング・サング・ブルー

4月17日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
Ⓒ 2025 Focus Features LLC. All rights reserved.
4月17日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
2025年/アメリカ/133分  配給:ギャガ、ユニバーサル映画
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かつて夢を追いかけ、音楽にすべてを捧げた男マイク。しかし今や誰かの“歌まね”でしかステージに立てない、人生のどん底にいた。そんな彼の人生に再び光をもたらしたのは、同じ情熱を胸に秘めた女性クレアとの出会い。敬愛するニール・ダイアモンドのトリビュートバンドを結成し、小さなガレージから始まった彼らの歌声はやがて人々の心を掴み、熱狂的な人気を獲得していく。だが、そんななか、突然の悲劇が彼らを襲う――。
アメリカのミルウォーキーで、波乱万丈という言葉では、とても足りない人生を送った男の実話をもとにした映画が完成した。彼の名は“ライトニング”ことマイク・サルディーナ。何十年も歌まねミュージシャンとして陽の当たらない道を歩いてきた彼が、ニール・ダイアモンドのトリビュートバンド「ライトニング&サンダー」を結成して大成功を収めるまでの軌跡、愛と夢とお互いを信じ続けたある夫婦の感動の実話。

  • 渡辺俊雄(元NHK衛星映画劇場 支配人)
     実在のアメリカの音楽家夫婦の物語を描いた感動作である。運命に打ちのめされながらも愛を貫いた夫婦と、二人を支え続けた家族の深い愛情に感動する。ヒュー・ジャックマンは相変わらず歌もうまいが、その相手を務めたケイト・ハドソンが素晴らしい。『あの頃ペニー・レインと』(2000年)で初めて彼女を見た時、その可憐さに一目ぼれしたが、今回は見事に成熟した彼女に惚れ直した。母親であるゴールディ・ホーンとは一味違う女優として、今後も大活躍しそうだ。この演技でアカデミー主演女優賞にノミネートされたのも頷ける。そうか、アメリカにも「歌マネ歌手」として生きる達者なミュージシャンが沢山いるのかと感心した。全編にニール・ダイアモンドなどの名曲が散りばめられ、音楽映画としても楽しめる作品だ。
  • 伊達彰夫(リテールビジネス研究所 顧問)
     ヒュー・ジャックマンとケイト・ハドソンがニール・ダイアモンドのトリビュートバンドの「ライトニング&サンダー」で中年の夫婦役を演じ、古き良きアメリカで愛と夢を信じ、ウソのような苦難を乗り越え、伝説と呼ばれた日々の実話である。ニール・ダイアモンドは1960~1980年にかけ、「スイート・キャロライン」に代表される様々のヒット曲を発表し、全世界で1億3000万枚以上をセールスした。エルトン・ジョン、バーブラ・ストライサンドと並ぶコンテンポラリー・シンガーである。ヒュー・ジャックマン、ケイト・ハドソンの2人の素晴らしい歌唱力、表現力、そして絶妙なハーモニーが映画でありながら、まるでコンサートを聞いているような、心持の良いあっという間の2時間であり、全ての音楽ファン、ファッション好きの人々にぜひ観てほしい作品。

木挽町のあだ討ち

2月27日(金)より、全国ロードショー
Ⓒ2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会
2月27日(金)より、全国ロードショー
2026年/日本/120分  配給:東映
<公式サイト>

文化7(1810)年1月16日。江戸・木挽町にある歌舞伎の芝居小屋「森田座」では、『仮名手本忠臣蔵』が大入り満員で千秋楽を迎えていた。その仇討ちは、舞台がはねた直後、森田座のすぐ近くで起きた。芝居の客たちが立会人と化し見守る中、美濃遠山藩士・伊納菊之助(長尾謙杜)が、父・清左衛門(山口馬木也)を殺害し逃亡していた男・作兵衛(北村一輝)の首を見事、討ち取ったのである。雪の舞う夜、若き美男子が成し遂げたこの事件は「木挽町の仇討ち」として江戸の語り草となっていた。それから1年半後、同じ遠山藩で若者の縁者を名乗る加瀬総一郎(柄本佑)が森田座を訪れる。彼にとってこの事件は、ふに落ちない点が幾つかあるようで……。やがて明かされる“仇討ち”の日に起こった驚くべき真実とは。そこには誰も知ることのなかった〈もう一つの物語〉が隠されていた――。
直木賞・山本周五郎賞をW受賞、数々のミステリー賞を制した原作・永井紗耶子の傑作時代小説の映画化。時代劇と歌舞伎のプロフェッショナルがつくり上げる様式美、知的好奇心を刺激する世界観、時代劇の枠を超えた極上のエンターテインメント・ミステリー。

  • 安藤紘平(映画監督、早稲田大学名誉教授)
     雪の夜、芝居小屋の近くで若い侍によって艶やかな「あだ討ち」が成功する。一年半後、謎めいた一人の侍が芝居小屋にやってきて、個性豊かな面々に、事の真相を聞いて回るのだが…。この映画は、永井紗耶子の直木賞受賞作を原作に、“仇討ち”という日本的なモチーフを使って、“真実とは何か”を多角的に描く、時代劇とミステリーと人情ドラマを重層に組み合わせた魅力的な作品である。そこには、芝居小屋に生きる個性豊かな人々の悲哀と支えあう絆、自由さを通して見える人生が現代社会の不条理な一面を浮き上がらせてくれる。柄本佑をはじめ渡辺謙、北村一輝、高橋和也、瀬戸康史など役者陣が好演して、素敵な作品に仕上がった。楽しめる作品だ。
  • 宮川直美(医師)
     芝居小屋のあるまちで起きた見事な仇討ち。美麗な少年が名うての博徒に成り下がっていた父の仇を捜し出し、死闘の末に討ち取った一部始終を大勢の観客が見届け喝采を送るという少し出来過ぎた顛末の真相を、後に現れた田舎侍が探るミステリー仕立てのストーリーだ。聞き込みをしていくと芝居小屋周りで働く人々のそれぞれの特技や事情が徐々に浮き彫りになっていき、出来過ぎた話に潜む裏が立ち現われてくる展開が飽きさせない。忠臣蔵の芝居を様式美として楽しみながら、武士の体面を保つためだけの仇討ちを、そんな馬鹿なと心の底で考えている心優しい人々が繰り広げる人情ばなし。
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