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2020.01.31 | TOPICS

「日本クリエイション大賞2019」選考結果のご報告

日本クリエイション大賞は、製品、技術、芸術・文化活動、地域振興、環境、福祉など、ジャンルを問わずクリエイティブな視点で生活文化の向上に貢献し、次代を切り拓いた人物や事象などを表彰対象とする顕彰事業です。今年度は、事務局推薦も含めた113件の推薦案件の中から42案件を懸賞制度委員会に提案。3回の委員会での審議の結果、大賞1件と各賞として【希望の光を灯す賞】【日本文化貢献賞】【防災減災啓発賞】の3件を選考しました。

 

「日本クリエイション大賞2019」授賞案件

【大 賞】株式会社デンソーウェーブ AUTO-ID事業部 主席技師 原 昌宏氏  

「誕生から25年、進化を続け世界を変革する『QRコード』」

今日、目にしない日はないほど身近に使われている「QRコード」が誕生したのは、1994年。株式会社デンソー(現在は分社して株式会社デンソーウェーブ)で、生産管理等の製造現場ツールのために開発されたものだった。バーコードは盛り込める情報量が20文字程度であるのに対し、その約350倍の情報量を収納でき、読み取り速度が速いことから、クイックレスポンスに由来する『QRコード』と名付けられた。開発に当たったのは、当時37歳の原昌宏氏率いる開発チーム。開発したもののバーコードに代わる二次元コードとして受け入れられるのか、原氏も確証が持てなかったという。それが特許を取得後、普及を優先するため使用の権利を無償で開放し、さらに2002年の読み取り機能を搭載した携帯電話の発売をきっかけに、急速に社会に広まっていく。ISOの国際規格として定められたこともあって、世界各国で使われるようになった。QRコード自身も進化を続け、現在ではキャッシュレス決済、顔認証、自動改札機、音声対応パッケージ、商品の真贋判定など、25年前には考えつかなかったさまざまな分野で使われ、世界の人々の暮らしやビジネスを変革し続けている。

QRコードを開発した株式会社デンソーウェーブAUTO-ID事業部 主席技師 原昌宏氏

 

【希望の光を灯す賞】WASSHA株式会社(東京都) 

「アフリカの未電化地域に新しいビジネスを創造する」

世界の人口77億人、うち未電化地域に住んでいる人約11億人、その6億人がアフリカに暮らしていると言われている。アフリカ・タンザニアの未電化地域で、アフリカ最大級のサービスネットワークを構築しているのが、2013年設立のベンチャー・WASSHA株式会社である。タンザニアのどの村にもあるキオスクと呼ばれる個人商店に、同社が開発したIoTデバイスを設置し、低所得の人々でもお金がある時だけ利用できるLEDランタンのレンタルサービスを展開。事業開始から約6年間で提携キオスクは1,700店舗を突破、毎日数万人の人々が“光”を手にしている。この世界初のレンタル形態による電力サービスのシステムは、アフリカ地域におけるBOPビジネスとしても注目を集め、国内外の企業と連携した新たなビジネスの創造が始まっている。

 

【日本文化貢献賞】株式会社竹尾(東京都) 

「創業120周年の『紙の専門商社』日本の文化を支える」

創業120年を迎えた竹尾は、紙の専門商社としてファインペーパーの企画開発と販売を通し、社会に貢献している。国内外の製紙メーカー・デザイナーと連携し開発した商品を中心に約300銘柄を在庫。書籍やパッケージ等、高級感を求められる用途に使用されている。業界での認知度は高く、長年にわたり培った物流システムと共に、企画力などを備えた総合力で、一貫した紙へのこだわりが企業姿勢となっている。1965年以来開催している「竹尾ペーパーショウ」は業界最大規模の展示会と高く評価され、2014年から東京、大阪、台北、ミラノで巡回開催した「SUBTLE」展は、「ジャパン・ハウス(外務省)」に採用され、サンパウロ、ロサンゼルス、ロンドンで開催、日本の紙文化を世界各地で発信し魅了した。竹尾は、「創造することに生き甲斐と感動を」という理念に基づき、「ないものを創る」「本物を追求する」企業文化で、繊細な日本文化の創造と発展を支え続けている。

 

【防災減災啓発賞】気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館(宮城県)

「記憶と教訓を“伝えるために”被災直後の姿を留めた震災遺構」

2019年3月10日に開館した「気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館」は、2011年3月11日の大震災当日まで、宮城県気仙沼向洋高校の校舎として利用されていた建物を再生したものだ。震災時、同校に居た約160人の生徒と校舎に残った教職員ら45人全員が避難し、一人の犠牲者も出ていない。しかし海岸から500mに位置する校舎を襲った津波は、4階部分、約12mまで達し、車や樹木など多くの瓦礫を教室に残した。被災直後の姿をそのまま留め、手すりや柵を設置し、校舎の内部を観覧できるようにした同館では、国内外からの来館者の多くが「津波の傷跡の生々しさ」に心を震わせ、その脅威を後世に伝えることの大切さを実感している。大震災の記憶と教訓を将来にわたって伝えるとともに、防災・減災教育の拠点としての役割を担っている。

 

 

 

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