生活文化創造都市推進事業

生活文化創造都市ジャーナル_vol.7  「交流創造都市・八王子のポテンシャルの更なる向上を目指して」

田辺 隆一郎氏

八王子商工会議所 会頭

八王子ファッション都市協議会 会長

 

 

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各町会保有の山車が市民のプライドに-八王子まつり

 

 

《産業、くらし、まちづくり》を一体的に捉えた交流創造都市

 

八王子は古くから風光明媚にして、養蚕と織物が盛んであり、江戸時代には甲州街道の宿場町という立地を背景に、商工業の重要な拠点として繁栄をしました。

幕末から明治にかけては、生糸と織物を主要産業として更に発展し、当時我が国の最も価値ある輸出品でありました生糸が八王子から横浜へ、いわゆる「絹の道」を通って広く世界に輸出され、今日の産業基盤を創り上げました。

このような歴史的発展を辿るなかで、八王子は多くの交流人口によって繁栄をした都市と言うことが出来ます。戦後、機業隆盛の頃、多くの問屋が仕入れのために八王子に集まり、買継商が仲介をし、八王子織物が全国各地の消費者の手に渡りました。

八王子に織物を買付けに来る問屋衆、機屋で働く女工たち、八王子で繰り広げられる祭事に集まる近隣地域の人々などにより、甲州街道沿道地域の小売店、飲食店、そして中央線沿線唯一の花街が交流人口により活況を呈した時代でした。

 

八王子の中心市街地は、独自の都市文化が醸成されたまちです。なかでも、八王子まつりに巡行する各町会保有の「山車」、宮神輿をはじめとする数多くの神輿などは、他都市に誇れる伝統文化であり、市民のプライドとなっています。

この八王子まつりは、近代的なパレードやイベント、そして古典といえる山車、神輿の混在したまつりでありました。これを、八王子商工会議所が中心となって、八王子の発展に貢献し得る質の高いまつりとして再生する方策を検討し、山車神輿を中心とした伝統文化を前面に押し出したまつりを提言しました。当時の市長にその提案を受け入れていただき、今日では8月初旬の3日間で80万人を超える来街者で賑わっています。

また、八王子には甲州街道を走る駅伝競走大会があります。昭和26年に第1回大会が開催され、全国的にも有名かつ権威のある大会として実施されてきました。しかし、交通事情等の理由から、コースが幾度となく変更され、現在のコースとなる前は多摩ニュータウンの交通量の少ないエリアで行われました。もともと、国道の甲州街道を走る駅伝として名を馳せ、各地の実力者が参加する大会でしたが、観客もまばらな沿道では参加チームも縮小傾向が続きました。走者にとっても、まちにとっても意義のある大会にすべきと、ここでも八王子商工会議所が、甲州街道を走る大会に戻すことを提言いたしました。

幸いにも、八王子市の理事者の英断により、甲州街道を走る大会に生まれ変わりました。

 

八王子ファッション都市協議会の活動については、本ジャーナルvol.6で㈱コミュニケーション・デザイニング研究所の福井昌平先生より、成り立ちから活動内容について詳細にご紹介をいただきましたが、いくつかの事業について紹介をさせていただきます。

前述の通り、八王子は繊維産業が基盤となって繁栄しました。現在も、そのものづくりに対する進取の精神は脈々と息づいており、着物地から洋装化への転換もスムーズに進みました。

本協議会では、自身で着たいTシャツのデザイン画を募集し、その中から優れた100作品を選び、顕彰するとともに、八王子で縫製した白いTシャツに自身のデザイン画をプリントしたものをプレゼントする「Tシャツデザイン画100選」を実施しています。

幼児、小学生から大人まで、市民のなかにクリエィションマインドの醸成と八王子の産業の歴史を知っていただきたいとの思いから始められた事業です。

また、農商連携事業として、八王子で生産された「鉢植えあさがお」をJR八王子駅と甲州街道を結ぶ西放射線ユーロードで販売する「八王子・夏の風物市」を毎年実施しています。八王子の芸者衆のお手伝いや商店街の連携イベントもあり、多くの市民から支持される事業になりました。こうして始まったJAとの協働事業を幅広いものにして行くために、昨年JA八王子との業務提携協定を締結しました。都市農業のもつ多面性を発揮し、地場の野菜、果実などのブランド化と農業の6次産業化を推進しています。

地域のレストランなどで地場野菜を食材として使っていただくために、JAとの協働でセールス活動も進めています。

こうしたまちのソフト事業を継続的に実施し、産業、くらし、まちづくりを一体的に捉えて、交流創造都市を目指します。

 

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「Tシャツデザイン画百選」展示会場での表彰式

 

 

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「八王子・夏の風物市」

 

 

八王子独自のMICE戦略の推進

 

東京都による「産業交流拠点」整備という大型プロジェクトをきっかけに、八王子商工会議所が八王子市にMICE都市推進の必要性を提言し、行政と産業界の協働による「観光産業推進会議」を立ち上げました。八王子の様々な資源を活用して、新たな八王子のイメージ創りと具体的な戦略を検討、実践すべく八王子商工会議所内に「八王子MICE都市推進センター準備室」を設置し、活動の基本構想、活動計画などをまとめました。

八王子市、公益社団法人八王子観光協会、八王子商工会議所の三者によりMICE戦略の推進体制について協議した結果、八王子観光協会にコンベンション機能を付加し、一般観光とコンベンション誘致の両機能を統合した新たな「八王子観光コンベンション協会」が平成29年4月1日に設立されました。

今後は、八王子のもつ豊かな自然、大学や先端産業の集積、JR中央線沿線唯一の花街など、八王子固有の地域資源を有機的に結びつけ、魅力的なMICEプログラム開発に取組むと共に、受け入れ側のステークホルダーとのネットワークを構築し、MICE事業の誘致、主催者支援などを積極的に推進します。

目指す成果は、交流人口の拡大による地域経済やまちの活性化ですが、それには資源の活用とあわせて、受け入れ側のおもてなし産業のレベルアップが必要です。商工会議所としてもMICE都市推進に寄与すべく、課題の解決に努力を続けていきます。

 

 

交流創造都市・八王子のポテンシャル

 

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八王子で生産された「鉢植えあさがお」

我が八王子は、23の大学・専門学校などを抱える学園都市であり、産学官連携による新技術の研究開発、新事業を創出するための優れた土壌を有しており、あわせて、縦横に走る鉄道網、更に圏央道が中央道、東名高速道路、関越道、東北道、常磐道と接続するなど、まさに交通の要衝として、産業の立地に適した環境にあります。

更に、高尾山をはじめとする豊かな自然と、八王子まつりに代表される地域の伝統文化を背景とした観光振興など、八王子の可能性は計り知れないものがあります。

現在、私共八王子商工会議所は地域経済活性化を主眼とする「まちづくり」への具体的提言活動や、「地産・地消・地活」の運動を積極的に展開しておりますが、行政をはじめとする関係機関、ならびに会員事業所、そして広く市民と連携を保ち、八王子の一層の発展のために、「グローカル産業都市・八王子」即ち、「地球規模で考え、地域で行動する」をテーマとして、新たなまちづくりの実現に努力しております。

※写真提供:八王子商工会議所

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