表彰式

日本ファッション協会 表彰式(2015年3月4日開催)

2014年度 日本ファッション協会 表彰式

開催日:2015年3月4日(水)  会場:帝国ホテル東京 3F 富士の間

 

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2014年度日本ファッション協会表彰式(日本クリエイション大賞/シネマ夢倶楽部各賞) 記念撮影

<主催者挨拶>

馬場彰 日本ファッション協会 理事長

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<来賓挨拶>

中村利雄 日本・東京商工会議所 専務理事

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日本クリエイション大賞2014 授賞式

今年度の選考について

MR.IWATA_report岩田彰一郎 選考委員長代行(アスクル株式会社
代表取締役社長 兼 CEO)

 

本日、受賞された皆さま本当におめでとうございます。

さて、日本クリエイション大賞は製品、技術、芸術そして文化活動、地域振興、環境、福祉など、ジャンルを問わず、クリエイティブな視野で生活文化の向上に貢献し、次代を切り拓いた人物や事象を表彰対象としております。

今回の案件募集にあたりましては、日本ファッション協会の会員企業の皆さま、全国の商工会議所、そしてその他の方々のご推薦を含めまして132件の案件が寄せられました。案件をお寄せいただきました皆さまには、この場をお借りして御礼を申しあげたいと思います。

これらの候補案件に対しまして、どこにクリエイションがあるのか、何がクリエイションなのか、本当に社会の役に立つのかといった視点で、多様な分野で学識と経験を持つ選考委員の皆さまと審議いたしました。委員の皆さまは本当に個性豊かで、それぞれ主張をもっておられますが、日本のクリエイションを本当に引っ張るのはどなたなのかについて、本当に徹底的に議論をいたしました。

その中で今回、大賞には、日本の若者たちが立ち上げたWHILL株式会社が開発した電動車いす、というよりも次世代パーソナルモビリティーが選ばれました。同社は当初から世界市場をにらんでシリコンバレーに本社を置き、かつ台湾で生産することで、良質なものを世界中に広げていこうという高い志を持っておられます。

40年以上にわたって、アフリカの人々の自活の場を切り拓き、ビジネスとして継続できる仕組みをつくられた、日本の起業家、佐藤芳之氏が日本クリエイション賞を受賞されました。

一方、日本の地方都市にあって、路線バスという厳しい経営環境にありながら増収を果たされた十勝バス株式会社も日本クリエイション賞を受賞されました。日本の元気のためには地方の活性化が必要であり、その動脈になるのがバス路線で、こういったものをきちんと復活されたことを選考委員一同大きく評価させていただきました。

また、熊本大学の河村能人先生が開発された「不燃マグネシウム合金」は、なんだかすごいらしい、こんなことができたら世の中が変わるねと、そのメカニズムなどよくわからないなりに喧々諤々議論をいたしまして、表彰させていただくことになりました。

今年度は例年にも増して、委員それぞれ異なる視点からクリエイションを捉える議論が展開され、時代性、革新性、文化性、国際性、社会性という5つの選考基準を踏まえながらも、種類の異なるクリエイションのあり方が提示され、それぞれの受賞案件が選ばれたと思います。これこそ日本クリエイション大賞のだいご味だと思っております。

今から表彰させていただく活動が、今後ますます発展されることを祈念いたしまして、ご報告とさせていただきます。どうもおめでとうございます。

 

四輪駆動で段差も乗り越える近未来型電動車いすを開発
WHILL(ウィル)株式会社 殿

 <受賞の言葉> WHILL株式会社 最高開発責任者 内藤 淳平 氏

本日はこのような貴重な賞をいただきまして、ありがとうございます。

──ここで、受賞した電動車いす「WHILL Model A」が遠隔操作で登場──

今回受賞させていただきましたのは、私たちのチームと、そしてこの製品「WHILL Model A」がクリエイティブであると評価されたからと思っております。日本とアメリカ、台湾にいるメンバーみんなの努力の結果であり、また支えてくださったユーザーの方々にもお礼を申し上げたいと思います。

簡単に製品のご説明をさせていただきたいと思います。今、これはiPhoneによる遠隔操作で動いておりますけれども、このようにスムーズに動くところが私たちの製品の一つの特徴です。前輪には、オムニホイールというものを使っており、これを使うことによってその場でくるくると回ることができます。後輪のタイヤが大きいことと四輪駆動であることを活かしまして、7.5㎝の段差まで乗り越えることができるところが大きな特徴になっています。

先ほどから、若手がというようなお話がありましたけれども、確かに私たちはもともと3名の若い創業メンバーが、アパートの1室で開発を始め、そこでユーザーの方々の応援を受けてつくり始めたというところはありますが、実際にこのタイヤ、オムニホイールを開発されていたのは、65歳の、定年を迎えたあともずっと開発を続けてこられた坂東さんという方で、日本のものづくりの力強さと若者の力、やる気が融合しての新しい製品の開発ではなかったかと思います。

本日はどうもありがとうございました。

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プレセンター(左)馬場彰顕彰制度委員会選考委員長

内藤淳平氏と「WHILL Model A」
WHILL株式会社 最高開発責任者 内藤淳平氏と
「WHILL Model A」

ケニア、ルワンダの人々の“自活”の道を切り拓いた日本の起業家
オーガニック・ソリューションズ 代表取締役社長 佐藤 芳之 殿

<受賞の言葉> 佐藤 芳之 氏

 

暑いケニア、ルワンダから1昨日東京にまいりました。寒いのでちょっと喉がやられて、風邪をひいてしまいました。お聞き苦しい点、ご勘弁ください。

私は1963年、東京オリンピックの前の年にアフリカのガーナに行きました。当時はアフリカ大陸は「暗黒大陸」言われていたのですけれども、行ってみたら全然暗くなくて、すごく明るいんです。なかなか居心地がいいので、しばらく居ようということになりましたが、それ以来54年間、今日現在に至るまで、アフリカに住んでおります。

1966年にケニアに移り、そのときは、ケニア東レに5年間お世話になってビジネスのABCを学びました。73年に起業してケニア・ナッツ・カンパニーをつくり、それから現在に至るまでいろいろなことをやっています。

先日、ちょっとおもしろいことがありました。妻の70歳記念に、ルワンダのヴォルカン国立公園にマウンテンゴリラの一家に会いに行きました。野生のゴリラが、この国立公園のカリシンビ山麓に住んでおりまして、約1時間くらい山を登っていくと、ラッキーなことにゴリラの一家に会うことができました。事前にガイドさんから、ゴリラのリーダー、家長のシルバーバックは目力があってよく睨むけれども、ひるまずにアイコンタクトをきちんとするようにと言われていました。立派なゴリラと出会ったときには、最初は怖くて目をそらせていたのですが、何の拍子か、ぱっと目が合いました。数秒間だったと思いますが、ゴリラと目を合わせているときに、何か通じるものがありました。

そのとき、彼が何を言おうとしていたのか。彼は私の目をじっと見ていまして、何か訴えかけていました。それは、たぶんこういうことを言っていたのではないかと思います。

毎日、世界各国からゴリラを見に人が来ているのだけれども、非常に楽しい。人はカラフルでファッショナブルですばらしい。それに比べて俺たちは数百万年間、この世に生れてから、一度も着替えたことがない。ずっと同じ服を着続けていて、もうそろそろ飽きたと。そして、よく見ると本当に訴えるような眼で、「人間っていいなあ、いろいろな洋服が着られて、いろいろな色のものが着られて、いろいろなライフスタイルがあって。我々は何百万年間、この山の中で野生のまま、服を着替えることもできず、そのまま生きているのだぞ」と。そしてできれば生まれ変わったら人間になりたいと、そう僕に訴えかけているように思いました

たぶんこれはゾウもライオンもみんなそう思っているのかもしれません。ゾウもあの耳に大きなイヤリングをいっぱい下げて歩きたいなとか、キリンはあの長い首にネックレスをつけて歩きたいなとか、ライオンも、ときにはたてがみを違ったヘアスタイルにしたいなと思っているのではないかと感じまして、山を下りてきたのですけれども、人間っていいのだなということをしみじみ感じています。

私ももうしばらくアフリカで暮らしていると思うのですけれども、ゴリラやライオンやキリンが生まれ変わって人間になるのだとしたら、そのときに、彼らが人間に生まれ変わってよかったなと思ってもらえるような、ファッショナブルでクリエイティブでカラフルな、そんな人間でありたい、彼らを失望させたくないなと思いました。

今日、このクリエイション賞を頂戴しまして、大変にうれしく、これから続く、生まれ変わりの動物たちのためにも、豊かな人間生活を楽しんでいきたいなと思っております。今日は本当にありがとうございました。

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プレゼンター(左) 岩田彰一郎
顕彰制度委員会選考委員長代行

佐藤 芳之氏
オーガニック・ソリューションズ
代表取締役社長 佐藤 芳之氏

全国で唯一増収転換を果たした路線バス
十勝バス株式会社 殿

<受賞の言葉> 十勝バス株式会社 代表取締役社長 野村文吾氏

 

寒い北海道からきまして、今、大変熱い思いでおります。本日はこのようなすばらしい賞をいただきまして、誠にありがとうございます。

私どものような地方の会社が日々続けてきた、本当に小さな小さな活動を、このような大きな場で取り上げていただきまして心から感謝申しあげます。

私どもは、地方の小さなバス会社ですが、この取り組みを全国のバス会社に同じように取り組んでいただければ、きっとその地方がしっかりと活性化しまして、日本を支えられる地方がたくさん出てくるのではないかと思い、日夜励んでいるところでございます。そんなことを、今日の賞は後押ししていただけると心からうれしく思っております。

そしてなによりも、わが社の社員が非常に喜んでくれているのではないかと思っております。私は旗を振っている役でありまして、実際に取り組んでくれているのは、わが社の現場であります。管理部門であり、運転手のみなさんであります。その社員たちがきっと今日の賞を心から喜んでいるのだろうと思います。今、わが社の社員たちは非常に明るくなりました。17年前、私が戻ったときには、暗い厳しい会社でありましたが、本当に明るくなり、社員一人ひとりが輝きはじめ、誇りを取り戻したのではないかと思っています。

また、わが社の取り組みを知ってくれた地元の高校生たちが、同じように自分の地元が誇らしいと言いはじめています。一企業が地元で必死になって事業を改善することが、地元の子どもたちにも誇らしく思っていただける、これこそ、地方創生として必要なことの一つなのではないかと、私は強く感じているところでございます。

そんな意味で、今日、受賞させていただいたこと、また、この賞によって地元の子どもたちや我々仕事をするものたちが、さらに誇りをもてるようになると思い、感謝の気持ちでいっぱいです。本日は、本当にありがとうございました。

プレゼンター(左)岩田彰一郎 選考委員長代行
プレゼンター(左)岩田彰一郎
顕彰制度委員会選考委員長代行

十勝バス株式会社 代表取締役社長 野村 文吾 氏
十勝バス株式会社 
代表取締役社長 野村 文吾 氏

常識を覆す不燃マグネシウムが世界の金属素材を変える
熊本大学先進マグネシウム国際研究センター センター長・教授 河村能人殿

<受賞の言葉> 河村 能人 氏

このたびは栄えある賞をいただきまして、選考委員の方々、ならびに関係者の方々にお礼を申しあげます。ありがとうございます。

これまで、学術分野からいろいろ賞をいただいているのですが、それ以外から賞をいただけるということは、また格別のうれしさがございます。

実は、まだ「KUMADAIマグネシウム合金」は実用化できておりません。ですけれども、いろいろな産業界から非常に期待されている材料であります。

この不燃マグネシウム合金を開発したときに、国際会議などで発表すると、よく「お前が言っている温度は絶対温度だろう」と言われました。これは普通私たちが使う温度は、氷ができる温度が0℃、沸騰する温度が100℃で、これは摂氏と言います。絶対温度というのは、氷が出来る温度が273℃ですから、摂氏とは273℃の違いがあります。ですから、国際会議で発表すると、「それは絶対温度だろう、273℃低い温度だろう」と疑われるわけですね。これはやはり実際に見てもらわないといけないということで、5万円をかけまして、専門家にビデオを撮ってもらって、それを国際会議で流すようにしたところ、ようやく受け入れてもらえたという材料です。

どうしてマグネシウムが燃えなくなるかと言いますと、マグネシウム合金と言うように、マグネシウムをメインとして、それにいろいろな金属元素を加えています。私たち材料研究者がやっておりますことは、添加する元素の種類と量を、泥臭いのですけれども、地道に調べて一番いいところを探すわけですね。

そういった合金では、何がいいのかと言いますと、表面に酸化被膜ができ、酸素を通さなくなって燃えなくなるのですけれども、従来のマグネシウム合金では、できる酸化被膜がスカスカの酸化被膜でした。それが添加元素をあるものにすると、酸素を通さない、ち密な酸化被膜ができるようになって、燃えにくくなるのです。

以上でメカニズムはわかっていただけたかと思うのですけれども、KUMADAI不燃マグネシウム合金のいいところは、ただ燃えなくなるだけではなく、機械的強度も従来のマグネシウム合金の2倍近く強くなりました。この二つを実現したのが特徴であります。

画期的な材料ができたからといって、すぐにイノベーションが起こるわけではありません。やはり画期的な材料が社会で実装化されてはじめてイノベーションが起こると思っています。ですから、現在、私は社会実装化を目指して、応用研究に取り組んでいるところです。

ただ、新材料が発見されまして、実際に実用化されるまでには、普通、20年から30年かかると言われております。この材料もようやく開発してから10数年経ちました。ちょうど折り返し地点になっておりますので、これからが本当の正念場だと思っております。実用化目指して今後もがんばっていきたいと思っています。今日は、どうもありがとうございました。

Mr.kawamura&iwata
プレゼンター(左)岩田彰一郎 
懸賞制度委員会選考委員長代行

Mr.kawamura
熊本大学先進マグネシウム
国際研究センター 
センター長 河村 能人 氏

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