生活文化創造都市推進事業

新ファッションタウン構想としての”生活文化創造都市”とは何か

~ヨーロッパで生まれた都市発展の新理論「創造都市」とファッションタウン構想の融合~

進化し続けた「ファッションタウン構想」

「ファッションタウン」とは「地域産業が地域コミュニティを育て、地域コミュニティが地域産業をはぐくむという視点で、地域の生活文化産業の“ものづくり”と、生活文化を生かす場である“まちづくり”とが一体になって動いている、活力ある生活圏(街、地区、地域、都市)である。」としてスタートしたファッションタウン構想は、多様な地域でその実現に向けてのさまざまな取り組みが推進されるに従い、「もの・まち・くらしづくり」へ、さらに「もの・まち・くらし・ひと・あきないづくり」へと順次進化していった。
中でも、“ものづくり”と“まちづくり”の推進には、“ひとづくり”が不可欠という認識は、ファッションタウンを推進する地域にとって共通のものとなっていたが、20世紀社会における「工業経済の時代」の“ひとづくり”を目指す色彩が濃いものであったことは否めない

 

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知識経済時代を迎えた「生活文化創造都市・地域」は 創造的な市民が主役のまちづくり

 「生活文化創造都市・地域」とは「生活文化の豊かさが市民の創造性をはぐくみ、それらの創造的な市民によって、絶えず新しい芸術・文化・技術・産業・生活スタイルが生み出されることによって、グローバルな環境変化によって引き起こされる地域社会の課題に対し、創造的かつ自律的に対応できるような都市や地域である。」
つまり、ものづくり、まちづくりのために人材を育てるという20世紀的な発想ではなく、地域の持つ生活文化の豊かさが、創造的で感性豊な人を育成し、その人たちが、21世紀の知識経済時代を担う新しい産業や雇用、さらには芸術文化を生み出し、そのことが都市や地域を変えていくという考え方である。このとき、創造性は技術革新のみならず、既存の組織や制度のあり方、あるいは都市環境政策などの公共政策まで転換させる原動力となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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バックボーンは世界的に注目を集めている「創造都市論」

 「創造都市」とは「市民の創造活動の自由な発揮に基づいて、文化と産業における創造性に富み、同時に、脱大量生産の革新的で柔軟な都市経済システムを備え、グローバルな環境問題や、あるいはローカルな地域社会の課題に対して、創造的問題解決を行えるような『創造の場』に富んだ都市である。」
 ヨーロッパをはじめ、今や世界中で新しい都市理論として注目を集めている「創造都市」の条件として、以下の6つが挙げられる。これらはもちろん生活文化創造都市・地域にも求められるものである。

創造都市の現代的条件

  第1に、芸術家や科学者が自由な創造活動を展開するのみならず、労働者や職人が自己の能力を発揮してフレキシブルな生産を展開することによって、グローバル・リストラの荒波に抵抗しうる自己革新能力に富んだ都市経済システムを備えた都市である。
 第2に、都市の科学と芸術の創造性を支える大学・専門学校・研究機関や劇場・図書館などの文化施設が整備され、また、中小企業・職人企業の権利を擁護し、新規創業を容易にし、創造的仕事を支援する各種協同組合や協会など非営利セクターが充実して、創造支援インフラストラクチュアとして機能している都市である。
 第3に、産業発展が都市住民の「生活の質」を改善し、充実した社会サービスを提供することによって、環境、福祉医療、芸術などの領域での新しい産業の発達に刺激を与えるような産業活力と生活文化、すなわち生産と消費のバランスのとれた発展をしている都市である。
 第4に、生産と消費が展開される空間を規定する計画権限を持ち、都市環境が保全され、都市住民の創造力と感性を高める都市景観の美しさを備えた都市である。
 第5に、都市住民の多様で創造的な活動を保障する、行政に対する住民参加のシステム、つまり、狭域自治と、地域の広域的環境管理を担当する広域行政のシステムを備えた都市である。
 第6に、創造的かつ自律的な自治体行政を支える財政自主権と政策形成能力の高い自治体職員を擁する都市である。

 

 

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