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日本クリエイション大賞

2009年 授賞案件

日本クリエィション大賞2009 環境経営賞

“CO2 24%削減を実現した環境創造戦略”

東日本旅客鉄道株式会社 殿

 環境負荷の小さい輸送手段として、世界的に鉄道の価値が再評価されている。1人1kmを運ぶときのCO2排出量は自家用乗用車約168gに対し、鉄道は約19gに過ぎない。

  国鉄時代の新幹線の騒音振動公害の反省もあり、地域との共生を意識していたJR東日本では、1992年という早い時期から、社長直轄の推進組織を立ち上げ、基本理念と基本方針を定めて、包括的に環境問題に取り組んできた。イメージ先行型になりがちな活動を戒め、同社は1996年から明確な数値目標を定め、毎年その達成度合を確認することによって、実績を積み重ねてきた。  

1998年には、CO2総排出量の削減目標を定め、2008年には目標値を上回る、90年度比24%のCO2削減を実現した。

CO2削減の柱は、火力発電所の燃料のLNGへの切り替えと省エネルギー車両への転換の2つである。減速時の運動エネルギーを電気に変換する『回生ブレーキ』や効率的なモーター制御ができる『VVVFインバータ』を搭載した省エネ車両は、同社車両の86%まで達している。

  CO2削減ばかりでなく、駅・列車からのゴミ回収と再生、雨水利用等の資源循環、600万本、4,200haに及ぶ鉄道林の整備等、さまざまな環境保全活動を展開している。1992年から行っている「鉄道沿線からの森づくり」活動では、2008年までに28万本の木を植えてきた。自治体と連携し、生態系に配慮した森の再生なども実施している。

  堅実な取り組みを積み重ねてきた同社であるが、2008年に策定したグループ経営ビジョンでは、難しい課題に“挑む”姿勢を打ち出し、CO2に関し、2017年度までに90年度比32%、2030年度までに50%削減という高い目標を掲げ、過去の成功 体験やその延長線上の発想とは異なる新たな挑戦を始めている。さらなるCO2削減は、従来の延長だけでは実現が困難と判断し、2009年にはイノベーションによる解決を目指して『環境技術研究所』を設立。既に非電化区間でディーゼルエンジンによる発電と蓄電池による電気双方を使用した世界初のディーゼルハイブリッド鉄道車両による営業運転を開始しているが、ここでは、電化区間は架線から電気の供給を受けて走り、非電化区間ではリチウムイオン電池に充電して走る蓄電池駆動電車システムの開発に取り組み、さらなる革新に挑んでいる。その他、太陽光発電やLED照明、屋上・壁面緑化などを採用した省エネルギー型の駅『エコステ』や、ホームの省エネルギーなどにも地道に取り組んでいく計画である。また一方で、環境意識の高まりにより、世界各国で高速鉄道が計画され、新興国でも鉄道の整備が急がれている中、鉄道事業のマネジメントや運行ノウハウの海外輸出も積極的に推し進めようとしている。

  着実かつ挑戦的なJR東日本の環境に向けての取り組みは、元々環境に優しい公共交通機関である鉄道の価値をより一層高めるものである。環境負荷の点でも、また安全性、安定性の点においても世界のトップレベルにある同社の鉄道事業は、日本のみならず、地球全体の環境改善に貢献していくことであろう。

 

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日本クリエイション大賞2009 創造賞

 “世界を変えるデザインの力、 PKD(Peace-Keeping Design)プロジェクト”

デザインディレクター・大阪大学大学院教授・博士(医学) 川崎和男 殿

 川崎氏は「デザイン=機能+性能+効能=美」と「いのち・きもち・かたち」を信条に、デザインディレクターとして伝統工芸品から医療器具、そして人工心臓のモデルに至るまで手がけ、デザインの持つ「理想を具体的に目に見える形で提案する力」を表現してきた。多くの作品が世界的に高く評価され、ニューヨーク近代美術館をはじめとする海外の主要美術館に永久収蔵、展示されているのみならず、「デザインの力は地方から世界への発信も可能にする」と、地方の地場産業支援にも取り組み、鯖江(福井県)の高いチタン加工技術と川崎氏の留め具のないデザインにより超軽量を実現したメガネは、米国共和党のペイリン氏やパウエル元国務長官などに愛用され話題になった。更に医学博士の称号をも持つ川崎氏がデザインした全置換型人工心臓はモーターの熱で臓器が焼ける従来品の欠陥を、モーターの周囲に静脈血流を循環させ冷却するという画期的なデザインで克服し、東京大学との共同研究で インプラントされたヤギの生存記録を更新させた。

  プロダクトデザイナーの概念を押し拡げる革新的な活動を続ける川崎氏が2 0 0 7 年より提唱しているのが『P K D(Peace-Keeping Design)プロジェクト』である。デザインを機軸とした創造的かつ総合的なアプローチで紛争、貧困、感染症といった地球規模の問題解決に取り組むこのプロジェクトでは、例えばワクチン接種について、製造から配送、管理、廃棄に至る全プロセスを見直し、開発途上国や紛争地域など管理体制が不完全な場所であっても、文字が読めなくても、安全に使用できる、注射器から輸送用ケース、パラシュートまでのトータルなシステムをデザインで構築。二次感染を招く再使用や、薬物利用への悪用をデザインによって不可能にした注射器は、医療メーカーでの量産体制が整った。また、従来の“治療不要”、“非緊急治療”、“最優先治療”、“死亡”の4段階を、“治療不要”、“要治療”、“死亡”の3段階としたトリアージタグ(災害時の医療対応レベルを表す札)は、判定時の医師や救急隊員の精神的負担、躊躇を軽減させ、被災者全体の生存率の向上に貢献するという。しかも現在のQRコードで個人情報を記載する仕組みを将来的にはICチップ更には遺伝子チップを使い、病歴などの詳細なデータを内蔵させることまで視野に入れている。クリントン元米大統領が創設した『クリントン・グローバル・イニシアチブ』のプロダクト・デザイン・アドバイザーにも就任。PKDもその活動の一環となる。本活動は2009年9月にアフリカルワンダへ眼鏡支援を実施している。

  政治や経済といった視点では解決できずにいた諸問題に“デザイン”という第三の視点で取り組むPKDプロジェクトは、表面上の美しさの先にある、デザインの持つ大きな可能性や、問題解決力を世界に発信している。さまざまな分野で従来のシステムが機能不全に陥りつつある今、デザインの力は次の時代の希望であり、本プロジェクトの更なる進展を通じ、この力が日本の新たなソフトパワーとして世界中で機能し、認知されることが期待される。

 

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日本クリエイション大賞2009 開発賞

“現代人の日常生活を支える縁の下のものづくり”

淀川メデック株式会社 殿

液晶テレビ、パソコン、携帯電話など、今や人々の生活は液晶ディスプレイなしでは成り立たない。淀川メデック(株)は、この液晶ディスプレイ製造工程に欠かせない偏光板貼付け装置の製造で世界シェア70%、従業員一人当たりの売り上げ1億円を誇る超優良企業である。

  1973年に設立。当初は放送用フィルムの接合装置の開発を手がけ、その後写真フィルムを連結して現像、焼付け、引き伸ばし等の作業工程を省力化するフィルムスプライサーを、そしてお年玉つき年賀はがきに写真を貼り合わせる自動装置をと、主に写真処理関連向けの省力化装置を製造してきた小さな会社であった。

  1985年には、液晶ディスプレイメーカーから、製品歩留まりの向上と省スペース化が図れる新たな貼付け装置の開発を依頼されたのをきっかけに、偏光板の存在すら社内に知るものがいない状況から偏光板貼付け装置の開発を始めた。 液晶パネルは自己発光しないため、バックライトの光を制限するために偏光板が必要であり、偏光板をきれいに効率よく貼る技術が必要とされていた。設立当初より培った“貼る技術”をもとに、次々と課題をクリア。更には、両面同時偏光板貼付け機やロータリー式偏光板貼付け機といった画期的な製品を開発した。2008年には、「アドバンスト・ディスプレイ・オブ・ザ・イヤー優秀賞」を受賞するなど、現在、世界中の液晶ディスプレイメーカーから支持される存在となっている。創業以来、一貫してこだわっているのは“オリジナルの技術”である。

既成概念にとらわれない確かな発想・開発力によって生み出される独創性豊かな製品は、ライバルがひしめく業界にあって他の追随を許さない。

  そんな淀川メデック(株)の一番の財産は80名の社員である。 気持ちよく働ける環境を創ることが大切であるとし、その一歩として社内美化を提唱。社員一人ひとりが自覚と責任をもって整理整頓を心がける。それは仕事にも通じることで、きちんとした仕事を次のパートに渡せば、受けた人は気持ちよくきちんとした仕事ができ、また次のパートにきちんとした仕事を渡すことができる。結果として、お客様が喜ぶ製品を提供することができる。

  産業の発展に応じ、それぞれの時代が求めるものがあり、それを具現化するための製造装置が必要である。今後も淀川メデック(株)は、時代を見据え、その時代に必要とされる技術と製品をもって、先端技術を支える縁の下の力持ちとして光を放つオンリー・ワンの企業であり続けることであろう。

 

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日本クリエイション大賞2009  海外賞

“ティーンによるティーンのためのライブラリー『Verging All Teens( V.A.T.)』 〈シンガポール〉”

ジューロン広域図書館(Jurong Regional Library) 殿

 シンガポールのジューロン広域図書館では、2004年6月の全面リニューアルの際に、ティーンがティーンのために企画し、ティーンが運営するティーン専用ライブラリー『Verging All Teens(V.A.T.)』というユニークな空間が作られた。

  『V.A.T.』は図書館4階の1フロア、約1,200㎡を使った、ガラス張りで日当たりの良い室内で、寝転がって本が読めるスペース、音楽を聴いたりインターネットが使えたりするコーナー、飲食が可能なコーナー、そして落書きのできる壁など、若者にとって居心地のよい場所となっている。

  シンガポールでも若者の本離れが進んでおり、ジューロン図書館の改装にあたり、国立図書館委員会( N a t i o n a l Library Board : NLB)では、どうすれば若者を呼び戻せるか悩んだ末、若者自身に任せることを思いつき、10代の若者12人のグループを企画に引き込んだ。若者グループは定期的に集まり、自分たちにとって魅力ある図書館はどういうものかを話し合い、大人には思いつかない発想で、それまでの公共図書館の常識を打ち破る内容の提案を次々と行い実現していったのである。

  内装は彼らの意見を取り入れてブラック&シルバーに統一。 床の一部には駐車場の床のようなコンクリートが張られ、若者たちは、その上に座ったり、寝転んだりして読書し、友達と一緒に宿題をやるなど自分たちの居場所として活用している。また彼らの要望で、コミック約2,000冊やポップミュージックのCDも収蔵されている。バルコニーの壁画は、彼らが自分たちで画家を探し出して描いてもらったものだ。   現在も運営はプロの司書の指導のもとに、若者のボランティアグループが行い、若者たちは本を選んだり、イベントを企画したりと、自分たちの図書館という誇りを持って参加している。 毎週水曜日には、オススメの本を紹介する「ブックトーク」が行われ、熱心な若者たちが参加するほか、本について語り合う「ブッククラブ」も盛んである。

  コンサート用のミニステージも作られ、バンド演奏、演劇、トーク等のイベントを頻繁に開催している。シンガポールの様々な民族の伝統的なダンスや遊びなどを知るプログラムや、海外の若者とオンラインでチャットしながら、その国の習慣や文化、食べ物などについて学ぶことも若者たちが企画したものだ。

  こうして、若者たちが集まる機会をたくさん作ることで、図書館を利用しやすくするとともに、企画、参加する若者たちの社会的なスキルを高めている。様々なイベントへの参加者は回を重ねるごとに増加し、図書館全体の入館者も改装前に比べ、約2.4倍に増えた。

  『Verging All Teens』とは全ての若者たちをつなぐという意味である。またVATにはワインなどを熟成させる樽の意味もある。図書館という公共施設の企画や運営に若者自身が参加するシステムを採り入れたことによって、『V.A.T.』は若者同士を近づけ、若者の大人への成熟を助け、そして社会へとつなぐ役割を果たしている。

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