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シネマ夢倶楽部

推薦映画の紹介

アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場

『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』12/23より全国にて公開

©eOne Films (EITS) Limited

2015年/イギリス/102分 配給:ファントム・フィルム
12月23日(金)より、TOHOシネマズ シャンテにて先行公開
2017年1月14日(土)より、ほか全国ロードショー

 ナイロビ上空6000メートルを飛ぶ【空からの目(無人偵察機ドローン)】を使い、イギリス軍の諜報機関のキャサリン・パウエル大佐は、国防相のベンソン中将と協力して、英米合同軍事作戦を遠く離れたロンドンから指揮している。ナイロビで凶悪なテロリストたちが大規模な自爆テロを実行しようとしていることをつきとめたキャサリン大佐は、ネバダ州の米軍基地にいるドローン・パイロットのスティーブに攻撃の指令を出すが、殺傷圏内に幼い少女がいることがわかる。キャサリンは少女を犠牲にしてでもテロリスト殺害を優先しようとするのだが……。
 現代のドローン戦争の闇を巧みに描き、何が正義かを突きつけ同時にモラルも問う衝撃の軍事サスペンス。主演は『クイーン』のヘレン・ミレン、監督は『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』のギャヴィン・フッド、豪華アカデミー賞キャスト&スタッフが集結した問題作。本作は『ハリー・ポッター』シリーズのアラン・リックマンの実写映画の遺作となる。

推薦コメント

西山昭彦(一橋大学 特任教授、博士(経営学))

 現在の世界では、毎日アメリカ軍が無人機でイスラム過激派を探し、ミサイル攻撃をしている。戦闘員と市民を分離できず、被害が広がっている現実がある。本作は、少女を犠牲にしてテロリストを殺害するか否か、苦悩の判断を迫られるが、その緊張感に圧倒される。

 

宮川直美(医師)

 現代のドローン戦争を描いた軍事サスペンス。テロリストを見つけ出すのも攻撃も、兵士は現場に赴かず、スイッチ1つですべてを操る今の戦場。昆虫サイズのドローンでアジト内の部屋の様子まで鮮明に写しだし、顔貌認証で指名手配犯を確認するなど、民家の近辺が突如戦場と化してしまう現代の戦争事情には背筋が寒くなる。

 

渡辺俊雄(NHK衛星映画劇場 支配人)

 世界各地で繰り広げられている「テロリスト」と「英米軍」とのパソコンを駆使したゲームのような戦争を、スクリーンにリアルに映し出した問題作。今まさに自爆テロを実行しようとしているテロリストを上空から見張るドローンが映し出す映像をもとに、寸分たがわぬ正確さでミサイル攻撃をしかけようとするイギリス軍諜報機関だったが、近くに少女がいるため決断ができない。発射ボタンを押すかどうかの判断が、たらいまわしで上層部に次々に求められるが、誰も明確な指示を出すことは出来ない。遠隔地で起きている悲惨な出来事が、軍事施設の会議室のモニターに驚くほどはっきりと映し出される緊迫感に圧倒される。
 「事件は、会議室で起きているんじゃない。現場で起きているんだ」と叫んだ映画もあったが、この映画は「世界一安全な会議室で今や戦争は起きている」ことを教えてくれる。

 

マダム・フローレンス! 夢見るふたり

『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』12/1より全国にて公開

©2016 Pathé Productions Limited. All Rights Reserved.

2016年/イギリス/111分 配給:ギャガ
12月1日(木)より、TOHOシネマズ 日劇ほか全国にてロードショー
 ニューヨークの社交界のトップ、マダム・フローレンスの尽きない愛と財産は、夫のシンクレアと音楽に捧げられていた。ソプラノ歌手になる夢を追い続けるフローレンスだが、彼女は自分の歌唱力に致命的な欠陥があることに気づいていない。愛する妻に夢を見続けさせるため、夫のシンクレアはマスコミを買収し、信奉者だけを集めた小さなリサイタルを開催するなど忙しく献身的に立ち回っていた。しかしある日、フローレンスは世界的権威あるカーネギーホールで歌うと言い出して―。持病を抱えながらも音楽に生きる彼女の命がけの挑戦に、シンクレアも一緒に夢をみることを決める。
 絶世のオンチなのにカーネギーホールを満員にした、ニューヨークが愛した伝説の歌姫、感動の実話!「第29回東京国際映画祭」公式オープニング作品。「いい夫婦の日」推奨作品。

推薦コメント

山形泰雄(元株式会社松屋 副社長)

 実話の映画化と言われると、更に感動が増す作品である。マダム・フローレンス・フォスター・ジェンキンスは、幼少のころから、音楽家になることを夢見ていた。最初の結婚に失敗し病を得たりと紆余(うよ)曲折あったが、ニューヨーク社交界のトップに立ち、音楽界の支援をしながら、自らはソプラノ歌手を目指す。豊かな富を背景に、立派な教師とお抱えピアニストを手に入れ大特訓に励むが、類まれな音痴。夫のシンクレアはひたすらマダムを立て、雑音はお金に任せて沈黙させる。マダムの最後の希望はカーネギー・ホールでのコンサート。このドラマチックな人生をメリル・ストリープがパーフェクトに熱演、献身的な夫をヒュー・グラントがユーモラスに演じる。ドキュメンタリーのような思いで一気に2時間の作品を楽しめる。

 

渡辺俊雄(NHK衛星映画劇場 支配人)

 これは、喜劇なのか、悲劇なのか…。とんでもない音痴である富豪夫人が、あろうことか 音楽の殿堂カーネギー・ホールで、大観衆を前にコンサートを開くことに。こんな話あるわけないと思ったら、実話だというから驚きだ。しかも、戦時中の1944年の出来事である。
 夫をはじめ周囲のお追従に乗せられて自分の才能を過信したヒロインを、現代最高の名女優メリル・ストリープが見事に演じきってみせる。彼女のことだから、オンチに歌うための特訓もしたことだろうが、音楽をこよなく愛する老女の、憎めないおかしさとあわれさを繊細に表現している。調子のよい夫役のヒュー・グラント、騒動に巻き込まれる相棒のピアニストを演じたサイモン・ヘルバーグも素晴らしい。

 

ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち

『ニコラス・ウィントンと669人の子どもたち』11/26より全国順次公開

©TRIGON PRODUCTION s.r.o. W.I.P.s.r.o. J&T Finance Group,a.s. CZECH TELEVISION SLOVAK TELEVISION 2011

2011年/チェコ、スロヴァキア/101分 配給:エデン、ポニーキャニオン
11月26日(土)より、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー
 1938年、第二次大戦開戦前夜のチェコスロヴァキア。イギリスのビジネスマン、ニコラス・ウィントンはナチス・ドイツによる迫害の危機にさらされていたユダヤ人の子どもたちを救うため、<キンダートランスポート>を実行し、チェコにおけるその中心人物となる。だが、彼らの行動に世界は冷たく、多くの国々が協力を拒否し、門戸を閉ざした。唯一子どもたちの入国を受け入れたのは彼の母国イギリスだけだった。ニコラスはイギリスで里親を探し、書類を偽造して、子どもたちを次々と列車で出国させるが、その活動は1939年9月1日の大戦勃発によって中止を余儀なくされる。彼が救った669人の子どもたちはホロコーストの時代を生き延び、各国でさまざまな職に就き、また多くの子孫を生み、育てた。その数約6000人。だが、ニコラスはそんな自らの偉業を誇ることはおろか、家族にさえそれを語ったことは無かった。それから50年後、1988年のある日、妻グレタが屋根裏部屋で埃を被った一冊のスクラップブックを見つける。そこには子供たちの詳細な情報が記載されていた。それを入手したイギリスのテレビ局BBCは子供たちの行方を追い、生放送の番組内でニコラスと再会させるサプライズを計画する。そしてそれは、人々を涙と感動で包む奇跡の瞬間となった。その一部は動画サイトにアップされて“世界で一番泣ける動画”とも呼ばれ、既に3000万回以上も再生されている。映画は、再会シーンはもちろん、そこに至るドラマチックな経緯と、一人の人間の愛と善意が驚くほどの影響力を持って今も世界中に広がり続けている姿を追っていく。
 モントリオール世界映画祭最優秀ドキュメンタリー映画賞、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭観客賞はじめ、世界各国の数多くの映画賞に輝いた傑作。

推薦コメント

高見恭子(タレント/文筆家)

 戦争が始まりそうな兆しの中、ナチスの脅威からユダヤ人の子供たち669人を海外へと救出したニコラス・ウィントン氏。彼はその偉業を妻にも言わなかった。のちに大人になったその子供たちが、彼を讃えて、感謝の言葉を皆で述べても、彼はメガネの中の涙を拭い、優しくうなずくだけ。本当に美しい心は声高に行いを言葉にしたりしない。謙虚な沈黙は今、私たちに染み渡り、彼の思いは静かに広がっていく。

 

鳥越孝治(元株式会社ダイドーリミテッド 社長)

 これはイギリスのシンドラーと呼ばれた男、ニコラス・ウィントンの世界に伝える軌跡と感動のドキュメンタリーです。第二次世界大戦開戦の前夜、チェコスロヴァキアでナチス・ドイツによる苛酷な迫害の 危機からユダヤ人の子供たちを救うため実行された、子供たちを安全な国に疎開させる「キンダートランスポート(子供の輸送)」の偉業。すでに高齢となった子供たちとの奇跡の再会、今も広がり続ける“恩送り”の記録、ニコラス・ウィントンの精神は今も世界中の多くの人々の心に生き続け、語り継がれます。

 

シークレット・オブ・モンスター

『シークレット・オブ・モンスター』11/25より全国にて公開

©COAL MOVIE LIMITED 2015

2015年/イギリス、ハンガリー、フランス/116分 配給:REGENTS
11月25日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほか全国にてロードショー
 1918年。ヴェルサイユ条約締結を目的にフランスに送り込まれた米政府高官。彼には、神への深い信仰心をもつ妻と、まるで少女のように美しい息子がいた。しかし、その少年は終始何かに不満を抱え、不可解な言動の数々に両親は頭を悩ましていた。その周囲の心配をよそに、彼の性格は次第に恐ろしいほど歪み始める。そして、ようやくヴェルサイユ条約の調印を終えたある夜、ついに彼の中の怪物がうめき声を上げる―。
 心理ミステリーの最高峰『羊たちの沈黙』のジョナサン・デミ監督が「身震いする緊張感、戦慄の映画」と評し、第72回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門で監督賞と初長編作品賞を授与。ジャン=ポール・サルトルの短編小説「一指導者の幼年時代」に着想を得て、ヴェルサイユ条約締結直前のフランスを舞台に、アメリカから来た政府高官の幼い息子が、やがて狂気のモンスター=”独裁者”へと変貌してしまうまでの謎に迫る怪作。

推薦コメント

高見恭子(タレント/文筆家)

 少女と見間違えられるほど美しく繊細な少年に内在する、愛を乞うほどに深くなる孤独と、怒り。クラシカルなバイオリンの旋律が、彼の助けを求める叫びにも似て、あまりに悲しすぎる。なぜ世界を震撼させた「独裁者」がうまれたのか、その答えを、今、深い闇のなかから私たちは見つけなければいけない。

 

藤原作弥(元日本銀行 副総裁)

 第一次世界大戦後に登場した独裁者・ヒトラーを思わせる一人の少年の歪んだ人格形成過程を描いた精神病理学的な怪談。少女のように美しいプレスコットは両親、教会、世間に反抗し、奇矯な言動をしながら異常な性格を育んでいく。映画は、そのエピソードを序章から第3章まで紹介していく。チャップリンの『独裁者』を正攻法とすれば、本作品は斜に構えた心理ミステリー。“アンファン・テリブル(怖しい子供)”はいつの世にもいるもの。アメリカのトランプ現象だけではない。北朝鮮、中国、ロシア、トルコ、フィリピン…、排外主義で一強他弱の独裁者が目立つ昨今、身につまされて観た。

 

湯を沸かすほどの熱い愛

『湯を沸かすほどの熱い愛』10/29より全国にて公開

©2016「湯を沸かすほどの熱い愛」製作委員会

2016年/日本/125分 配給:クロックワークス
10月29日(土)より、新宿バルト9ほか全国にてロードショー
 銭湯「幸(さち)の湯」を営む幸野家。しかし、父が1年前にふらっと出奔(しゅっぽん)し銭湯は休業状態。母・双葉は、持ち前の明るさと強さで、パートをしながら、娘を育てていた。そんなある日、突然、「余命わずか」という宣告を受ける。その日から彼女は、「絶対にやっておくべきこと」を決め、実行していく。家出した夫を連れ帰り家業の銭湯を再開させる。気が優しすぎる娘を独り立ちさせる。娘をある人に会わせる。その母の行動は、家族からすべての秘密を取り払うことになり、彼らはぶつかり合いながらもより強い絆で結びついていく。そして家族は、究極の愛を込めて母を葬(おく)ることを決意する。
 自主制作映画『チチを撮りに』(2012)が、ベルリン国際映画祭他、国内外10を超える映画祭で絶賛された中野量太監督のオリジナル脚本商業デビュー作品。その脚本を読み、「心が沸かされた」と出演を決めたのは、『紙の月』(2014)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞他、2014年の賞レースを総なめにし、名実ともに日本を代表する女優となった宮沢りえ。会う人すべてを包みこむ優しさと強さを持ちながら、人間味溢れる普通の“お母ちゃん”という双葉役を、その演技力と熱量で見事にスクリーンに焼きつけます。〝死にゆく母と、残される家族が紡ぎだす愛″という普遍的なテーマを、想像できない展開とラストにより、涙と生きる力がほとばしる、驚きと感動の詰まった物語。

推薦コメント

三遊亭小圓楽(落語家)

 銭湯「幸の湯」を営む幸野家。だが父は1年前に出奔、銭湯は休業状態。母の双葉はパートをしながら娘を育てている。ある日、双葉は突然余命二ヵ月という宣告をうける。気丈な彼女はその日から絶対にやっておくべきことを決め実行していく。
 家族から全ての秘密を取り払い、ぶつかりあいながら強い絆で結ばれていく。死にいく母の熱い想いと驚きのラストに生きる力がほとばしる家族の愛の物語。宮沢りえが好演、伊東蒼が難役を見事に演じる。

 

高見恭子(タレント/文筆家)

 見る前にストーリーは絶対聞いたり読んだりせずに、あなたの心で感じ、見て欲しい愛の映画です。哀しいけれど、強く、風変わりでたくましい炎のような愛をうちに秘めた女性、双葉さんの凛(りん)とした生きかた、人生の贈りものを、多くの方に受け取って欲しい。見終わって、愛について誰よりも家族と話したくなります。

 

渡辺俊雄(NHK衛星映画劇場 支配人)

 宮沢りえが演じた“太陽の明るさと月の寂しさを持ったヒロイン”は、今年、日本映画に登場した中で最も魅力的な人物。余命二ヵ月という逆境にもめげず、常に他者を思いやる姿は慈愛にみちた聖母のようだ。宮沢りえの代表作になるに違いない。
 この映画の中心は「母と娘」の物語である。娘たちを演じた杉咲花と伊東蒼の自然な演技も素晴らしい。娘を棄てた母も育てた母も生きることに懸命だが、それに比べて男共はどこか情けない。物語の締めくくりに、文字通り「湯を沸かすほどの熱い愛」が示されたとき、観客の目からは思わず涙がこぼれるに違いない。舞台となった足利にある銭湯も魅力的だ。

 

怒り

『怒り』9/17より全国東宝系にて公開

©2016 映画「怒り」製作委員会

2016年/日本/142分 配給:東宝
9月17日(土)より、全国東宝系にてロードショー
 ある夏の暑い日に八王子で夫婦殺人事件が起こった。窓は閉め切られ、蒸し風呂状態の現場には、『怒』の血文字が残されていた。犯人は顔を整形し、全国に逃亡を続ける。その行方はいまだ知れず、そして事件から一年後。千葉と東京と沖縄に、素性の知れない3人の男が現れる。それぞれが出会い、愛した人は、殺人犯だったのか?それでも、あなたを信じたい…。そう願う私に信じたくない結末が突きつけられる―。
 原作:吉田修一×監督・脚本:李相日、世界を席巻した『悪人』タッグが再び!渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮崎あおい(※)、妻夫木聡など、日本を代表する豪華俳優陣が集結した、日本映画史に深く刻まれる傑作の誕生。家族や友人、ときに愛する人でさえ、簡単に疑ってしまう不信の時代に、本作は“信じる”とは?という根源的な問いかけを一つの殺人事件をきっかけに投げかける感動のヒューマンミステリー。
 
※宮崎あおいさんの「崎」は正しい文字が環境により表示できないため、「崎」を代用文字として使用しています。

推薦コメント

安藤紘平(映画監督)

 現場に「怒」という血文字を残した惨殺事件。指名手配の犯人とどこか似ている3人の男。その3人の男に関わった二人の女と一人の男。『悪人』の原作者の吉田修一と監督の李相日が組んで描く人間の本質。「人は、愛するほどに、恐れと不安から、その人を信じることが難しくなってゆく」という、ギリシャ神話やシェイクスピアの摂理から逃れられなくなる。演出も見事であるが、芸達者な役者たち、音楽、とても魅力的な作品である。

 

藤原作弥(元日本銀行 副総裁)

 アルベール・カミュの「異邦人」は確たる理由なく殺人を犯す不条理劇だったが、『怒り』の殺人事件の理由は判然としている。ITの発達により無機質になってしまった現代社会では、有機的な人間がその社会に阻害され、やり場のない「怒り」から、いとも簡単に人を殺す。3人の容疑者はそれぞれが疎外された人間。最後の起承転結の意外な結末で真犯人が判明するも、その「怒り」は個人の社会に対する報復なのだ。この映画は、社会の理不尽を沖縄基地問題という「政治」にまで辿っている。「怒り」の発露であるバイオレンスを李相日監督と名優たちが見事に表現してみせた。

 

渡辺俊雄(NHK衛星映画劇場 支配人)

 今年、いちばん衝撃を受けた作品。上映中、いま日本中に蠢いている様々な怒りが画面から飛びだしてくるような感覚にしばしば陥った。物語は平和な東京郊外の家庭で発生した夫婦殺人事件を発端に、姿を変え逃亡を続ける犯人は誰か…を捜し求める構造だが、見ているうちに全国あちこちで発生する理不尽な殺人事件、沖縄の米兵による性犯罪などが脳裏をかすめる。渡辺謙を中心に現在の日本映画界を代表するうらやましいような豪華な若手俳優たちの競演に酔いしれた。

 

君の名は。

『君の名は。』8/26より全国東宝系にて公開

©2016「君の名は。」製作委員会

2016年/日本/106分 配給:東宝
8月26日(金)より、全国東宝系にてロードショー
 千年ぶりとなる彗星の来訪を一か月後に控えた日本。 山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごしていた。町長である父の選挙運動に、家系の神社の古き風習。小さく狭い町で、周囲の目が余計に気になる年頃だけに、都会への憧れを強くするばかり。そんなある日、自分が男の子になる夢を見る。 見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。念願だった都会での生活を思いっきり満喫する三葉。一方、東京で暮らす男子高校生の瀧も、奇妙な夢を見た。行ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているのだ。繰り返される不思議な夢。そして、明らかに抜け落ちている、記憶と時間。いく度も入れ替わる身体とその生活に戸惑いながらも、現実を少しずつ受け止める瀧と三葉。しかし、気持ちが打ち解けてきた矢先、突然入れ替わりが途切れてしまう。入れ替わりながら、同時に自分たちが特別に繋がっていたことに気付いた瀧は、三葉に会いに行こうと決心する。だが、辿り着いた先には、意外な真実が待ち受けていた……。
 『秒速5センチメートル』(07年)、『言の葉の庭』(13年)など意欲的な作品を数多く作り出してきた気鋭のアニメーション映画監督・新海誠。精緻な風景描写とすれ違う男女の物語を、美しい色彩と繊細な言葉によって紡ぎ出す“新海ワールド”は、世代や業界、国内外を問わず人々に大きな刺激と影響をおよぼしてきた。夢の中で“入れ替わる”少年と少女の恋と奇跡の物語『君の名は。』は、世界の違う二人の隔たりと繋がりから生まれる「距離」のドラマを圧倒的な映像美とスケールで描き出す。新海誠監督の待望の新作。

推薦コメント

三遊亭小圓楽(落語家)

 十代の頃の理由なき心の欠損感、孤独を癒してくれるどこかの誰かをいつも探しているような焦燥感、そんな感覚を思い出させてくれる一作。
 主役の二人は性別や育った環境も違うが、ある日を境にお互いの心が時折入れ替わってしまう珍現象に晒される様になる。始めこそこの現象に翻弄される二人だが、だんだんと受け入れ協調し、その状況を楽しむようにさえなってくるが…、実はその現象には隠された使命が秘められていた!とにかく若い人はもちろん、若い頃の甘酸っぱい思い出をお持ちの方々にもぜひご覧いただきたい作品。

 

高見恭子(タレント/文筆家)

 アニメーションなのにアニメーションだと忘れるぐらい、のめり込む素晴らしいストーリーは、いらない雑念が入らなくて、まっすぐ素直に心を掴まれる。私たちもみな、どこかに大切な誰かのことを忘れ去っているのかもしれない。ただのラブストーリーにとどまることなく、人生の尊さがしっかり描かれている。

 

渡辺俊雄(NHK衛星映画劇場 支配人)

 『君の名は』と聞くと、中高年世代は岸惠子と佐田啓二の“国民的すれ違い映画”を思い浮かべるだろうが、これは別物、しかもアニメだ。しかし、時空を超えて若い男女がすれ違う、という切ない構造には共通するものがある。都会に住む男子高校生と、田舎に住む女子高校生がなぜか突然、夢の中で入れ替わってしまう。実はそれには深い意味があるのだが、それが解き明かされないまま物語は進展する。夢の中というもどかしさ、思春期の男女の不安定な心情を繊細に描きながら、宇宙規模の壮大なドラマに結びつける、という離れ業を新海誠監督は見事にやってのけた。アニメならではの映像の美しさ、壮大なスケールを生かした大人も満足できるアニメの快作である。

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